2011年08月19日

トリウム

原子力発電方式のひとつにトリウム溶融塩原子炉というのがあるらしい。今年の1月25日に中国科学院(the Chinese Academy of Science)が“戦略的・先端科学技術特別プロジェクト”として、トリウム溶融塩原子炉の研究開発を行うと公式に発表している。

1月25日といえば東日本大震災発生より前である。タイムリーといえばタイムリーだ。さてどのような技術かというと過去の新聞記事に次のようなコラムがあった。

朝日新聞2008/11/28記事 私の視点

簡単にまとめると、トリウムとは以下のようなものらしい。

‐トリウムは天然に得られる元素で原子力の燃料となる。
‐プルトニウムが生まれず核拡散の恐れがほぼない。
‐資源量はウランの4倍以上とみられる。

そしてトリウム溶融塩原子炉には次のような特性があるらしい。

‐溶融塩は高温でも圧力が低く安全性が高い。
‐燃料棒を使わないため燃料交換の必要がない。
‐超ウラン元素も生じない。
‐廃棄物の負担を量、質の両面で低減できる。

この話が本当だとすると現在使われている方式より良さそうな気がする。ではなぜこのような優れた技術が埋もれていたかというと、記事によればウラン、プルトニウムが生成されないため核兵器の材料が取り出せないからだという、今となってはにわかに信じがたい理由によるものらしい。

・・・とは言えトリウムも放射性物質なので廃棄物がゼロになるわけではないので、安全面も含め実用化への技術開発にはいくつかの障壁はあるだろう。が、中国科学院が“戦略的・先端科学技術特別プロジェクト”に採用するくらいだから実用化の可能性も高いのではないだろうかと推測している。またトリウムの有効利用が進めばレアメタル採掘時に発生するトリウムの処理に困らなくなるらしいので一石二鳥となる技術のようだ。

今、国のエネルギー政策が見直されようとしている。あらゆる確度からの議論を望みたい。多数決で決めるのではなく、正しい答えを導き出してほしい。

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Posted by 植木 一夫 at 06:36│Comments(0)ひとりごと雑談
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